5月国立小劇場、文楽初日!
国立小劇場で開催された、文楽を初日に通してみた。
第1部の感想は、こっちで。5月文楽鑑賞雑感 七世竹本住大夫引退公演 第1部[文楽・感想]
しかし、考えてみたら1部2部と残虐な話が続くよなあ。1部の恋女房染分手綱は石で嬲り殺しだもんね……文楽はこうゆうのも有るからいいんだけど。
女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)
近松門左衛門の名作。内容が内容なので暫く上演されなかったもので、ここ最近なんだよねー、再演され出したの。
まあ、正直胸くそ悪い話だからなあ。文楽の中でキングオブくず男だよな、この話の主人公与兵衛って。まだ、四谷怪談の伊右衛門の方がマシと思えてしまうほどのくずっぷり。
まあ、このくずさ加減が面白くてついつい見てしまうんだけど。
大阪7月、サマーレイトショーで通しでやるみたいなんだよねー。大体、殺した後の話ってあんまりやらないんだけど、それではやるみたいで。
見たい……
だって、殺した油屋の女房お吉の葬式にのうのうと出ちゃったりするんだよ、与兵衛。すげえよ!すげえ屑だよ!
徳庵堤の段
事件の発端。野崎参りに行く途中で自分の入れ込んでいる女郎が、他の田舎者と同伴したのを見かけ、難癖を付ける与兵衛。
与兵衛の人形遣いは桐竹勘十郎さんなんだが、もー、このチンピラっぷりがすげーうまい!出てきた瞬間にチンピラ!漂う駄目男感(笑)
田舎者との喧嘩の際、与兵衛が投げた泥玉が侍の袴に当たってしまう。そして間の悪い事にその侍に従っていたのは叔父の森右衛門。
手打ちになりそうな与兵衛だったが、参詣の最中に血で汚れるのはよくないとの事でなんとか命を助けられる与兵衛。
さっきまでの威勢が嘘の様にしょぼくれる与兵衛。
河内屋内の段
与兵衛の実家、油屋の河内屋では、妹のおかちが病で臥せっている。
河内屋は妹のおかちが継ぐ予定なのだが、それを不服とした与兵衛の実父が、化け出ているかららしい。(今の徳兵衛は元々番頭で、義父)
実はこれ、与兵衛の企みで、それがばれた事により、徳兵衛は遂に堪忍袋の緒が切れる。
徳兵衛と母、お沢は勘当を言い渡すのだが、それに切れた与兵衛は大暴れ。どこまでもろくでもないねえ。
豊島屋油店の段
高利貸しに金を借りていた与兵衛は、期日が迫っている。
勘当された身であるため、親に借りるわけにも行かず、同じ油や仲間の豊島屋を伺う。
そこには女房のお吉しかおらず、お吉に馴染みのよしみで金を貸してくれるよしみで様に頼む。
しかし、断るお吉に目の色を変えた与兵衛は、遂に……
有名な油屋の場面。油がこぼれてツルツル滑る床の上で、与兵衛がお吉に襲いかかる。
文楽での表現は、舞台の端から端まで、つーっと滑るんだよねー。それがちょっと滑稽な感じなのがいい。
残虐なシーンなんだけど、人形だとそうゆうのお構いなしだからねえ。
歌舞伎だと実際にローションか何かを舞台にまいてやるみたいで、ぬるぬるになって追い回す姿が、やたらと生々しいんだよねえ……こうゆう表現は文楽の方が向いてるかもね。
鳴響安宅新関
勧進帳の段
歌舞伎十八番の勧進帳。
背景は老松で、内容的にはほぼ一緒。ただ、義太夫7人と三味線8人と大人数で、それ以外にも囃子方がいたりと、音的にはかなり豪華。
文楽の勧進帳、かなりいいなー。
歌舞伎と文楽、同じ演目がかなりあるけど、それぞれ表現の違いがあって面白いよ。向き不向きもあると思うし。
ついつい見比べてしまうんだよねー。これも文楽公演を観る楽しみの一つ(笑)
国立文楽劇場開場30周年記念 七世竹本住大夫引退公演
11時開演 増補忠臣蔵(ぞうほちゅうしんぐら) 本蔵下屋敷の段
恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな) 引退狂言 沓掛村の段 坂の下の段
卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい) 平太郎住家より木遣り音頭の段
4時開演
女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく) 徳庵堤の段 河内屋内の段 豊島屋油店の段
鳴響安宅新関(なりひびくあたかのしんせき) 勧進帳の段