サンデーコミックスでは一の谷の合戦まで、別雑誌で新シリーズが始まった「ますらお」
新刊のますらお 秘本義経記 大姫哀想歌とますらお 秘本義経記 波弦、屋島が出ているのを最近知って、旧シリーズを電子書籍でまとめ買い。
連載していたのは20年くらい前だったような?
当時、サンデーは買ってたんだけど、この辺りから雑誌は買わなくなったりとちょっと漫画離れをしていた時期。
これまでSFや青春モノを書いていた北崎拓が義経の伝記物を書くということで気にはなっていたのだが、なんとなーく歴史に対する興味が失われていた時期だったので、そのままフェードアウトしてしまったんだよね。
で、最近、別の雑誌で連載再開されたと聞いて、まとめて読んでみたくなった。
これがすごく面白い。全く古さを感じさせない。
そして、歌舞伎や能、文楽を見るようになっているからなんだろうけど、登場人物への思い入れとかがあるんだよね。
義経、弁慶もそうだけど、熊谷次郎直実、佐藤忠信、平知盛などなど、歌舞伎で出てくるスター達が端役などで目白押し。
狂犬、ツンデレの義経。心優しい常識人の弁慶
幼少の頃からの経験からすっかり歪んでしまった義経は鬼畜ツンデレという感じ(笑)母親に捨てられたという体験から、女性に対しては嫌悪感を抱いていたりして、最後の最後でやっと会った静御前といい感じになっても吐き気を催すという体たらくぶり。
実は結構情に厚くて、交流のあった人間とかには非情になれなかったりするという甘い部分もあったりで、なかなか複雑な人物像なんだよね。
それに反して弁慶は素直で優しく大人な感じ。やんちゃな義経一行をまとめる大人なキャラ。
「義経記」では悪僧として描かれ、五条大橋で刀狩りをしていたものは弁慶だったんけど、歌舞伎や能などでは五条大橋で待っているのは義経なんだよね。
漫画ではどちらとも言えず、勘違いで五条大橋で戦う形になるのだが、キャラ付けとしては歌舞伎や能の弁慶っぽい。
なかなか出会えない義経と静かにヤキモキする(笑)
命をかけたすれ違いで、最終巻の8巻まで出会えない義経と静がまた切なくてねえ。
義経の不器用さが際立っているというか……戦の前で決心が揺らぐから合わないとか!会えよ!目の前のにーとか切ない(笑)
作者が独自の解釈で描く義経記、登場人物達が皆人間臭くて熱い歴史漫画。歌舞伎や能の物語を思い浮かべながら読むのがなかなか楽しい。
読み終わったので、次はますらお 秘本義経記 大姫哀想歌』と『ますらお 秘本義経記 波弦、屋島』を買おうっと。