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飛田新地で経営者をやっていた人の回顧本「飛田で生きる」[本・感想]

飛田で生きる

経営、運営としてみる飛田新地の話

大阪の秘境と言えば飛田新地

近隣にあべのハルカスがそびえ立ち、開発の激しい西成区周辺にあるという、江戸から戦後の置屋風景がいまだに現役の場所。

まだ行ったことは無いのだが、時代劇や歌舞伎なんかを観ていると、一度は覗いてみたい場所ではあるよねえ、使うかどうかは別として(笑)

その地域に入るには嘆きの門という入口をくぐらないといけないというのも、吉原の大門みたいで、独特のいかがわしさを味わってみたい気もしてしまう。

そんな飛田新地の茶屋の経営者になった人のドキュメンタリー本。

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今は親方を辞めて女の子をスカウトする側になっているらしい。

面白いのは、

新地で店を買うにはどうしたらいいのか?とか

値段はいくらか?とか、

言い方が悪いけど女の子の仕入れ方とか、

実際にどんな形で運営しているのか?とか、

普段は絶対に分からないジャンルの経営がしれて面白い。

飛田新地自体は親方の組合のようなものがしっかりしていて、決まりごとなども多く、うさん臭い仕事よりもよっぽど組織がしっかりしている。

経営者になるには、紹介と審査が必要というのもね。

あと立ち上げるまでの苦労。

消防法などきちんと気をつけながら、警察に審査を出したりと大変。

審査が降りる前から女の子やおばちゃん(女の子の管理とお客さんと交渉をする窓口の人)にキープ料を払ったりしなければならず、店が開かなければ赤字だけがかさむという……

序盤、資本金として用意したお金がどんどん減っていく話とか胃が痛いよねえ。

開店してからも苦労は絶えない

一軒の茶屋自体の規模が小さいので、女の子の実力次第で売り上げは激変し、売り上げがよい子でも、急に飛ぶ(いなくなる)リスクがあったりで、儲かればいいけど、儲からなくなったらとことんという。

バイトがいなくなるのとは訳が違う。

シフトどうしよう?とかよりも普通にその子の分の売り上げがなくなる……

店の中での女の子同士の関係なんかも重要で、売り上げがいい子と悪い子の確執とかもおこったりするので、マメなケアが必要なんだけど、かといって過度なケアをすると惚れられたりして……

親方にとっての特別ができると店のバランスが悪くなり、それがまた売り上げに響くという。

管理職としても、かなりデリケートだよなあ。

お店が回っている間は特にすることもなく、売り上げを回収するだけが仕事になるようだが、そこは商品が人間なので、細かなケアが必要な場合も多く(おばちゃんにも)、人を見る目とリスク管理能力、ダメージコントロールに長けた経営スキルが必要。

言ってしまえば、トラブルさえ無ければ、経営者の仕事なんて無いんだけど、そのトラブルが重大という。

絶対に普通に働いてる方が楽(笑)

それでもそれを仕事にするのは、やはり人間っておもしろという要素があるからかもしれない。

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