おめでたい豊竹呂太夫襲名披露公演!襲名披露狂言は「寺子屋の段」
国立劇場で開催された5月文楽公演、第一部を観てきた。
豊竹英太夫改め六代豊竹呂太夫 襲名披露の口上があるしね、第一部は。
半蔵門駅から向かう、国立劇場の裏手にはのぼりまで出ていて、これまでこんなに襲名で派手に演出していたかなあ?
劇場内の入り口にはご祝儀が飾れていて、公演前なのに呂太夫がいらっしゃった。
気さくに写真を一緒に撮られて、なんだかお人柄がうかがえる。
なんか隠し撮りみたいになっちゃった(笑)
演目はおめでたい寿柱立万歳(ことぶきはしらだてまんざい)からはじまり、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)を半分くらいやるという感じ。
松王丸、梅王丸の喧嘩から桜丸の切腹。そして呂太夫の口上から寺入り、襲名披露狂言の寺子屋の段。
口上は笑いに包まれたものだった。六代目呂太夫はいじられキャラなのね
文楽の口上って本人は語ることはなく、周りがやんややんやと言うものなのだが、出てくる話は面白いエピソードばかりで、。六代目呂太夫はいじられキャラなのね。五代目はイケメンだったのに六代目は実に文楽らしいキャラって(笑)
同期らしい桐竹勘十郎があかす海外公演のエピソードもほっこりするわ。演者なのにこんがり日焼けするなんて(笑)
終始笑いに包まれた口上でした。歌舞伎みたいに人が多すぎなくてシンプルでいいね(笑)
お祝い事ということで、大人数の「寿柱立万歳」
出だしはお祝いごとということで、義太夫、三味線が入りきらないくらいにならぶ演目寿柱立万歳。
人が多いので音圧があるのと、三河万歳の二人組が軽快にお祝いの踊りを踊り明かすというもの。
三番叟もそうだけど、お祝いものはやっぱり華やかで観ていて楽しいよねえ。
ど定番の菅原伝授手習鑑、名場面集
続いての演目はある意味ど定番の菅原伝授手習鑑で、有名どころのピックアップ。 松王丸、梅王丸、桜丸、三兄弟の父白太夫の70歳のお祝いに、先に女房連中がやってきてその準備。
料理のシーンなどはコメディパート。三兄弟の嫁はちゃきちゃきと準備をして、それぞれ白太夫に贈り物をする。
とても仲睦ましい女房達なのだが、三兄弟の仲はその時点では激悪なんだよねえ。
遅れてきた松王丸と梅王丸は顔を合わせては嫌味を言い合い、結局は相撲で決着だ!と庭で大暴れ。
その際に三兄弟を表している、松、梅、桜の木のうちの桜の木を折ってしまう。
普段なら白太夫は激怒しそうなものなのに、なんとも穏やかにその場を収めてしまう。
様子がおかしいと思いつつ、松王丸は時平に仕えるから勘当してくれと申し出る。梅王丸もて菅丞相に仕えに九州に行くと言い出す始末。
勝手にしろと追い出す白太夫。松王丸はそのまま退場するが、不審に思った梅王丸は、家の裏にひそむ。
すると奥から桜丸があらわれる。菅丞相が流罪になった責任を取って切腹をするのだという。そのことをあらかじめ白太夫は知っていた。
切腹した桜丸の後を追おうとする妻の八重を制止する梅王丸。白太夫は後のことを梅王丸にまかせ、自分はて菅丞相の元に旅立つのだった。
そして襲名披露の「寺子屋の段」は名調子!
それから月日が流れ、とある寺子屋に菅丞相の子、菅秀才がかくまわれていた。菅秀才をかくまったのは菅丞相の元弟子の源蔵と戸浪夫婦。
寺子屋では、子供達が大騒ぎ。奥で一人菅秀才は学習に励んでいる。
源蔵が不在の間、一人の女性が子供を連れてくる。小太郎という子供を戸浪に預け、用事があるとのことでいなくなる。
不在だった源蔵が青い顔をして帰って来る。なんと源蔵の寺子屋に菅秀才がいることがバレ、松王丸が首実検にやってくるという。
身代わりを立てようと思ったのだが、育ちのいい菅秀才のような子供はこの寺子屋にはいない。
と思っていたところに、小太郎という育ちの良さそうな子供が今日入ったことを知る。
意を決して菅秀才の身代わりに、小太郎の首をはねる源蔵。
松王丸一行が菅秀才の首実検にやってきた。一か八か小太郎の首を見せる源蔵。
松王丸は首を見て、菅秀才の首だと断定する。そして、その仕事が終わったら、病気だから隠居すると宣言する。
松王丸が帰ったの束の間、すぐに小太郎の母親が帰って来る。しどろもどろの源蔵に小太郎は役になったか?という母親。
なんと、小太郎の母親は松王丸の妻、千代であり、身代わりになるよう松王丸が仕向けたものだった。
寺子屋の前半部分は、満を持しての呂太夫の語り。情緒たっぷりで聞かせてくれたー。
なんども観ている寺子屋だけど、やっぱりなんだか感慨深かったよ。
5月文楽公演
国立小劇場 2017年5月 第一部(午前11時開演)
寿柱立万歳(ことぶきはしらだてまんざい)
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
茶筅酒の段
喧嘩の段
訴訟の段
桜丸切腹の段
豊竹英太夫改め六代豊竹呂太夫 襲名披露 口上
寺入りの段
襲名披露狂言 寺子屋の段