ネットの評判を見て気になった漫画、ものするひとを買ってみた。ちょうど2巻が出たタイミングだったので。
警備員のバイトと純文学を書くことによって生計を立てている主人公、杉浦紺。
日々淡々とバイトと文章を書くことを続けている。
そこに描かれている生活は、本当に平凡で淡々としていて、メリハリはあまりないのだけれど、そうゆうことをあまり気にしていないよう。
もう一人、ヒロインともいうべき女性、姫乃たまは、大学生でありながら、地下アイドルとして活動し、不倫をしている。
そんな二人が出会ったことによって何かが……劇的に変わるわけでもなく、ただ静かな変化がちょっとばかり起こる。
アイドルなんてしているたまは、エキセントリックな生活をしているようで、実は現状にしっくりとしていなくてもがいている。
アイドル活動をしている仲間、友人などは、就職という人生の転機で普通に戻ろうとしている。
たまは、それがなんだかしっくりこない。
周りは、アイドルを続ける選択肢はないのだ。それは一時のサークルのようなものであり、仕事として考えることなんてありえない。
そんなたまは、作家として淡々と生活する「変わった」杉浦に興味を持つ。
杉浦は愛用のポメラで、いつでもどこでも、たまが家に泊まっても、淡々と書き続ける。
一見、変わったヒロインと一見普通の主人公。
この対比が面白い。
趣味的なことを仕事として続けていけるかどうかというのは、やはり本人の意識による部分が多いんだろうなあ。
主人公の杉浦はあまりその辺の意識はないようだけど、書かないという選択肢はないのだろうね。
2巻で杉浦が賞に絡むんだけど、かと言って、少年漫画のように熱い展開になるわけでもなく。でも、なんだか読み進めるたびにドキドキする。
賞の結果を待つ間、主人公のようにドキドキする。
待っている描写がなんだか妙にリアルなんだよなあ。つい引き込まれちゃうよね。
純文学の作家を扱う漫画であり、純文学のような漫画。
KADOKAWA (2018-03-12)
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杉浦という主人公がどうなるのか、なんだか気になって仕方がない。