週末、国立新美術館で開催している、クリスチャン・ボルタンスキーの回顧展を観てきた。
公式サイト:https://boltanski2019.exhibit.jp
ウィーンモダンも一緒に観たのだが、それは後ほど。
クリスチャン・ボルタンスキーは、越後妻有アートトリエンナーレの最後の教室という作品を観てるんだよね。それで気になった。
薄暗い会場に浮かび上がるボケた顔の写真。人が常に持っている不安感に訴えかけるアート
会場に入った瞬間に、被り物をした人がずっと吐いている(咳をしている)映像。
入り口にこだまする咳の音。
次の映像はダッチワイフのような人形にひたすら舐める亜人。
進んでいくとボケた顔の写真だ壁一面に貼られている部屋。
祭壇のように並べられた白黒の顔写真。
一様に笑顔を浮かべているのだが、遺影のようなイメージ。
真ん中にうず高く積まれた服。
風鈴の映像。
海岸線に置かれた叫び声のなる装置。その映像。
どの作品も、言いようのない不安感を煽るような雰囲気。
胃の底が重たくなるような感覚。
アウシュビッツを彷彿させる先品の数々は、彼がユダヤ教に関連するからか
展示会場に入ったときから、感じる既視感は、アウシュビッツに行った時のものだと気がついた。
気になってカタログを買って読んでみたら、やっぱりユダヤ教に関係してるんだねえ。
ウィキによれば、父親が改宗ユダヤ人だそうで、ちょうどナチス戦時下の影響も受けていたようで。
そのトラウマが作品に色濃く反映しているんだろうねえ。
展示されている白黒の写真なんて、アウシュビッツに展示されていた収容者の写真みたいだし、うず高く積まれた服も、アウシュビッツで見た収容者の服のようだった。
アウシュビッツに行った時に感じた、肌がざわつき、胃の底が重くなる感じも、なんだか思い出してしまったよ。
言いようのない不安感。包まれるような死の匂い……
ザワザワとこころ穏やかでない気持ちになってしまって、観終わったあとどっと疲れちゃったよ。
でも、観て、体験しておいてよかった。
好きとか嫌いとかを超えた作品の数々だよなあ、俺的には。