本屋大賞にノミネートし、佐藤健主演で映画化される小説
「世界から猫が消えたなら」を電子書籍で購入。タイトルからしてどんな話なんだ!?と気になっていたので。
あらすじ
脳に腫瘍があることが判明し、余命が幾ばくもない事を知らされた主人公の前に現れた、主人公と全く同じ顔でアロハシャツを着た男。
自分が悪魔だと名乗った男は、主人公が明日死ぬ事を告げる。
ただし、寿命を延ばす方法があると悪魔は言う。
それは、1日に付き、1つ、悪魔が思い付きで、世の中に必要の無い物を消すという事だった。
世の中には必要じゃないものなんて、結構ある様な気もするけど
悪魔の提案は1つと言うより、1ジャンル。例えば主人公が最初に消すのは「電話」なんだけど、それを望むと世の中から電話というジャンルの物は全て無くなってしまう。
もちろん、携帯電話も。
えー!?不便!と思うかもしれないが、元々電話という概念がない場合、それが無いと言う事で世の中が廻っていくわけで。
主人公だけが、それがあった事を知っている。あまり社交的では無い主人公にとっては、さして問題もない感じではあったが、無くなると分かると見えてくる必要さとかもあったりするもので。
そんなわけで、主人公は自分の寿命と引き換えに幾つかの物を消していくんだけど、その過程というのがちょっと概念的。
そうだよね、この世界って人間の都合で色々と限定してるんだよね。
ただ、この小説は無くなったものの町への影響とかそうゆう話は全然出てこない。そういったSF要素を期待すると肩透かしを受ける。
また、ヒロイン的な元カノや、主人公の親友が出てくるんだけど、消したものの中には彼女らの生活に大きく関わるものがあるのだが、消した後の彼女達の様子が全く描かれないので、その辺は片手落ちな気もする。
だって彼女らはそれに関係する仕事をしてたりするのにー。
彼女らにとって人生とも言えるものが無くなってる訳だからねえ……読者的にはどうなったのか知りたいよ。でもその辺、全く触れないのはとても残念。
そして、それに対して、主人公が苦悩とかを全くしないのもね……いくら死ぬとしても、ちょっと独善的だよなー。
全体として話としては家族の話なんだよなー、この話。
無くなる事が分かって分かるもの、そしてそれから分かる事。母の想いとか父の想いとか、物が無くなってから分かる事もある。
アイディア的には面白い話だったけど、設定とかの詰めは甘いかも?まあ、読みやすい本なので、さらっと読めるのはいいけどね。