暗闇に光る稲光とそこに浮き上がる三番叟
オーチャードホールで開催された野村萬斎と杉本博司のコラボ、Divine Dance 三番叟を観てきた。
杉本博司の演出した演劇を見るのは、曽根崎心中、朗読劇と3つめ。
最初に杉本博司の解説があり、囃子方の演奏があり、最後に三番叟。
真っ暗な舞台上に4本の柱があり、背後に天に登っていく階段があるという幻想的で必要最低限に抑えられた舞台装置。
三番叟が始まると、杉本博司の代表作でもある稲妻の写真が上に現れ最初に千歳が出てくる。
その時の囃子方と地謡が普通とはちょっと違った曲を奏で出す。
ブンッ、ブンッとベースラインのような音がなっているんだけど、たぶんそれは地謡が唸っている音なんだろうね。
あんな低音が出る楽器なんて、囃子方にはないもんなあ。
野村萬斎は、以前杉本博司の展覧会で見た、稲妻のついた青い衣装で登場。
厳かに三番叟を舞う。
暗い中での舞うその姿がなんとも幽玄の世界のようで不思議な感覚。
舞終わった後の演出も独特で、囃子方や地謡が退場した後、最後に萬斎が階段に向かって歩いて行き、階段の前に立つと、萬斎から魂が抜けたようにスポットライトの光が階段を登っていく。
1時間程度の演目なのだが、なんかどっと疲れた。不思議なトランス状態に陥る感覚があったんだよね。
光と陰の必要最低限の演出と、独特な囃子方と地謡の音が、脳をゆさぶるのかもしれない。