メニュー 閉じる

復讐なんてするもんじゃないよね…国立劇場で「通し狂言 伊賀越道中双六」を観てきた[歌舞伎・感想]

通し狂言 伊賀越道中双六

86年ぶりに復活した第二幕

国立劇場通し狂言 伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)を観てきた。

通し狂言 伊賀越道中双六

2014年にも吉右衛門主演でやったのを観たのだけど、内容がちょっと変わっていたんだよね。

二幕目の相州鎌倉 円覚寺方丈の場は86年ぶりの復活だそうで。

以前見たときは唐木政右衛門が敵討ちに参加するために、せっかく見つけた仕官先の御前試合でわざと負ける大和郡山 誉田家城中の場だったんだけどね。

最後の大詰伊賀上野 敵討の場もなんだかちょっと前より短かった気がするんだよなあ。

やっぱりちょっと吉右衛門のお歳のことを考えて、殺陣とか軽くなった演出だったのかもなあ。

それにしても登場人物の名前が同じようなものばっかなんだよなあ、近松半二他先生よー

前に見たときにも思ったんだけど、なんでこんなに登場人物の名前が似てるのかねえ。

主役は唐木政右衛門。仇は沢井股五郎とそれをかばう叔父が沢井城五郎で騙し討ちされるのが佐々木丹右衛門

「まさえもん」に「たんえもん」に「じょうごろう」に「またごろう」にって、えもんとかごろうとか音が似てる人が多いんじゃあー。

一人の敵討ちのために死屍累々。なんか敵討ちってやるものではないなあと思えてしまうよねえ

上杉家の家老、和田行家はこの仇討ちの原因となるダメな息子と娘を持っていて、息子は芸者に入れ込んで勘当、娘は浪人とでき婚してしまって勘当というなんというか子育て失敗してるよねえ…

ただ、息子の志津馬(菊之助)は沢井股五郎にそそのかされて、家宝の政宗を質に入れてしまう。

股五郎は見舞いのついでに行家に政宗を質受けするよ?と持ちかけるのだが断られてしまう。

股五郎の計略を見破った行家だが騙し討ちを受け殺害されてしまう。

政宗を奪おうと箱を開けてみると中には政宗はなく、佐々木丹右衛門の預かり状が入っていた。

二幕目は佐々木丹右衛門から刀を奪うべく罠に嵌める話。

下手人である股五郎を引き渡すという約束で、沢井城五郎の元を訪れる佐々木丹右衛門。

条件がイマイチ不明なんだけど、交換に政宗を引き渡すという。え?それが原因で和田行家は殺されたんじゃないの?

なんか損してない?

ともかく股五郎と交換で政宗を引き渡し、そのまま連行していく佐々木丹右衛門。

しかし帰り際に待ち伏せに会ってしまい、佐々木丹右衛門までもが殺されてしまう!

三幕目、三州藤川 新関の場は、敵討ち状をもらった志津馬が関所の手形を持っていないので、それを管理している茶店の娘・お袖をだまくらかして、関所を通る話。

なんかほんと、女にだらしないやつだよねえ志津馬って。イケメンだけど(笑)

一番の被害者はチャリ場を演じた奴の助平(又五郎)だよねえ。

実は助平、股五郎の密書を持っていて、お袖にほだされて手形と密書を奪われちゃうんだもん(笑)ひどい。

四幕目、三州岡崎 山田幸兵衛住家の場は見せ場ともいうべき場面。

騙した茶店の娘・お袖の家にやってきた志津馬。

実はお袖は股五郎に嫁に出されるはずだったのだが、見ず知らずの男に嫁に行くのは嫌だと逃げ回っていたのだった。

その状況を利用しようとした志津馬は自分は股五郎だと嘘を言いお袖に取り入る。

嫌がっていた許嫁がイケメンだと知り、俄然やる気が出たお袖(笑)

志津馬は志津馬で、行方しれずになってしまった股五郎の手がかりを探ろうとお袖の父山田幸兵衛に取り入る。

志津馬は、手に入れた密書を差し出す。その内容は敵討ちとして志津馬に狙われている股五郎の助太刀を山田幸兵衛に依頼するものだった。

やる気になったお袖(笑)に促されて祝言の支度をしに奥に引っ込む志津馬。

すると何やら外が騒がしい。

やっぱり手形がなくて関所を無理やる抜けてきた唐木政右衛門が捕り物に取り囲まれていた。

武術の達人である政右衛門にかなうはずもなく、ポンポンと投げ飛ばされる捕り物。

その様子を見ていた山田幸兵衛は元弟子だった庄太郎だろ?と声をかける。

突然の師弟の再会。いやー、偶然の出会いが多い家だね山田幸兵衛の家は(笑)

身分を保障された政右衛門は政右衛門とは名乗らずに庄太郎のまま家に招かれる。

若い頃、突然武者修行に出ると言っていなくなってしまった庄太郎(政右衛門)との再会に喜ぶ山田幸兵衛。

山田幸兵衛は弟子だった庄太郎に股五郎の助太刀を頼む。敵には唐木政右衛門という剣豪がいるらしいから、少しでも加勢が必要なのだ。

それを引き受ける庄太郎(政右衛門)。

しばし、昔を懐かしむ団欒の時。そんな中外には乳飲み子を抱えた巡礼の女が、大雪のため一晩の宿を求めてやってくる。

その姿を見て驚く、唐木政右衛門。なんとその女は政右衛門の女房のお谷だった!

えー!乳呑み子抱えてるんだから無理せず家に居ろよ!

その様子に気が付いた庄太郎(政右衛門)だが、女房に声をかけられて正体がバレるとまずいので、山田幸兵衛の妻、おつや(東蔵)が中に入れてあげたら?というのをこんな怪しい女はやめろと頑なに拒む。

そのうちお谷は気を失ってしまったので、赤子だけは中に入れて、その赤子をおつやが世話をしている間に、政右衛門はお元に気付薬を飲ませて、事情を話し一度立ち去らせる。

ところが、その赤子が持っていたへその緒の箱書きからその子供が政右衛門の子供だということがバレてしまう。

山田幸兵衛は、この子を人質にすれば剣の達人政右衛門に勝つのもたやすいと話し、それを聞いた庄太郎(政右衛門)は赤子を奪い取って殺してしまう!

 

えーー!!

 

人質をとって勝負するなんて、武士の誉れに傷がつくという理屈だが、その様子を見て、山田幸兵衛は実は庄太郎の正体が政右衛門だと最初から気づいていたと発言!もちろん、志津馬の正体も!

 

早く言ってよそれ!!赤ちゃん殺しちゃったよ!

 

それを知ったお谷は、赤子の遺体を抱いて嘆き悲しむ。山田幸兵衛の娘、お袖も志津馬に操を立てて仏門入り……

 

やっぱり復讐って誰も幸せにしないよねえ……

 

最後は大 詰 伊賀上野 敵討の場

 

山田幸兵衛からの情報で裏道を抜けることを知った志津馬たちは、先回りして沢井股五郎一行とついに対面。

 

近藤野守之助一行に守られて数で押そうとする沢井股五郎!悪人なのに意外に人気があるよな!沢井股五郎!(笑)

 

政右衛門たちは仇討ちを果たすことができるのか!

 

最後の殺陣は随分と簡略化されていた気がする……もう、吉右衛門は激しい殺陣とか無理なんだろうなあ……なんか寂しい。

 

国立劇場開場50周年記念「通し狂言 伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」五幕七場

序幕 相州鎌倉 和田行家屋敷の場
二幕目 相州鎌倉 円覚寺方丈の場
同   門外の場
三幕目 三州藤川 新関の場
同     裏手竹藪の場
四幕目 三州岡崎 山田幸兵衛住家の場
大  詰 伊賀上野 敵討の場

唐木政右衛門 中村 吉右衛門
山田幸兵衛 中村 歌六
佐々木丹右衛門・奴助平 中村 又五郎
和田志津馬 尾上 菊之助
沢井股五郎 中村 錦之助
政右衛門女房お谷 中村 雀右衛門

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です