確信を持ってひたすら努力し挑み続ける主人公の姿が熱い
先日、体の調子が悪くて飲みに行けなかったので、浮いたお金で以前から気になっていたBLUE GIANTとその続編BLUE GIANT SUPREMEの1巻2巻を電子書籍でまとめ買いしてしまった。
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買ったその日に一気読み。あっという間に10巻と続編2巻までを読んでしまった。
熱い!ともかく熱すぎる!
主人公、宮本大は仙台に住む高校生。偶然入ったジャズライブに魅せられ、以来ずっと毎日、河原でサックスを吹きまくる。
誰に教わることもなく、耳コピのみで音を探し、毎日ひたすら一人で練習する大。
楽器屋の店主に勧められてジャズライブに参加するも、ずっと一人で吹いていた大はセッションできずに失敗。
だが、そこで出会ったジャズバーの店長に師匠となる音楽教室をやっている由井を紹介される。
音楽理論など全く理解していなかった大だが、由井にひたすら音楽の基礎を叩き込まれる。
周りの皆が漠然と大学に進学することを決めた後もひたすらサックスの練習をしる大は、卒業後、東京に上京。
友人の玉田を頼り居候し、そこでバイトと河原での練習の日々。
偶然入ったジャズバーで紹介してもらったライブで運命の出会いをする。
そこで演奏していたピアニスト沢辺 雪祈。
高圧的な態度に最初は反発するも、雪祈に組むことを提案される。
3年間どれだけやってきたんだ。それを考えると、その努力を考えると、思わず感動しちまって
雪祈が初めて大の音を聞いた時のセリフ。
14年間、子供の頃からピアノを弾いていた雪祈が大の音を聞く前には3年しかやってないやつとバカにしていたのだが、聞いた途端に涙してこのセリフ。
この漫画は本当にひたすら練習する様子を描いているんだけど、それを大が努力とは思ってないところがすごい。
そしてそれはわかる人にはわかってしまうのがかっこいいんだよねえ。
努力は人を裏切らないというのは多分こうゆうことなんだろうなあと。
努力したと言ってしまう人は全然足りてないんだろうなあってね。
大は決して努力したって言わないもんなあ。努力っていうのは人の評価で、本人には関係ないことなんだろうねえ、本来。
そんな大の影響を受けて、同居している玉田も無為な大学生活に嫌気がさし、やったこともないドラムをやりたいと二人に提案。
素人には冷たい雪祈はそれを拒否するが、それでも必死に食らいつき努力する玉田。
大はそんな玉田の好きな気持ちを否定しない。
オレはウマくても、ヘタでも…感動できればいい。
そんな雪祈に大が言った言葉。うーん、熱い。それを言えちゃうのってすごいよなあ。
小手先の技術より熱さ。それは情熱。
3人で始まったバンド名JASSは、その熱に引っ張られるようにライブをこなしていく。
そして俺に巻き込まれていく大人たち。
昔は熱かっただろう、冷めてしまった大人たちに熱を入れていく。
雪祈の憧れるジャズライブハウス「SO BLUE」へ!
日本のジャズの最高峰とも言えるジャズハウスSO BLUE。
ある意味雪祈はそこに立つためにジャズをやっている感じはある。
気持ちの焦りからか雪祈はSO BLUEへの出演へのオファーを工作するのだが、SO BLUEの支配人・平はその姿勢を叱咤する。
玉田と大は褒めたものの、雪祈のピアノに対しては「何一つ面白くない演奏。全力で自分をさらけ出す、それがソロだろ」とボロクソの評価。
それを聞いた雪祈は腐るのではなく、自分を変えるために動きだす。
BLUE GIANTという漫画は、人からの評価とかが辛辣でも、それに反発するのではなくそれをバネにするのがすごいんだよなあ。
普通あんなこと言われたら1週間ぐらい腐るし、分かってないおっさんの意見とかで片付けちゃうこともある。雪祈は、実はそれを分かっていたという部分もあるんだろうけど、それを受け入れられるっていうのはなかなか難しいもんね。
必死に自分たちを追い込むJASSのメンバーたち。それに巻き込まれるように周りが動き出した。
演奏の中で一つの殻を破りつつある雪祈はSO BLUE来日の海外アーティストの代打ピアニストを頼まれる!
ついに夢のSO BLUEに立つチャンスに恵まれた雪祈。
そして賛否両論の最終巻
そしてついに夢のSO BLUEに立つ雪祈。そこでついに殻を破り、すべてを出し切ることができた!
それをきっかけについにJASSとしてSO BLUEに立つチャンスをつかむ大たち。
ついにライブが明日となった日、雪祈は……
確かにこの終わり方は賛否両論あるよなあ。
最終巻が出た時、続編の BLUE GIANT SUPREMEが同時発売したのもわかるきがする。アマゾンの評価も最終巻だけすごい割れてたもんなあ。
ただ分かる気もするんだよね。
雪祈はSO BLUEに出てしまって、ピアニストとしてすでに満足してしまった。
逆に大にとってはただのワンステージに過ぎない。この差がね。
主人公・大を、次のステップに進めるためにちょっと性急になってしまった感じはするけど、多かれ少なかれ、JASSは解散していたんだろうなあ。
ただ、続けていたら、多分この漫画に出てくる、妥協してくすぶっている大人たちのバンドみたいになってしまったかもしれない。
お金を稼ぐために、追い込まないそれなりのバンドになっていたかもしれない。
で、それに満足できない大が喧嘩別れして出る……みたいな漫画になっていたのかもしれないなあと。
JASSを解散した大は仙台に戻り、それぞれに報告する。
師匠である由井に海外に行くことを報告すると、ある国へ行くことを勧められる。
大はその指示に従うことに。
そして、 BLUE GIANT SUPREMEへと続く。
大はドイツへ!BLUE GIANT SUPREMEは海外修行編
なんのアテもなく、ドイツ、ミュンヘンについた大。
幾つかの偶然で周りの人たちに支えられながらミュンヘンでついにライブをすることができた大。
そしてそれをきっかけにドイツでのメンバー探しを始める。
メンバーを探してジャズバーやライブハウスを回る大はついに理想のベーシストは見つける。
小柄でパワフルな女性のベーシスト、ハンナ・ペーターズに声をかけるものの、無下に断られる大。
次はハンブルグに行くという言葉だけを頼りに、ミュンヘンを離れハンブルグに行く大は、巨大な街ハンブルグでハンナという名前だけを頼りに彼女を探す。
最後の最後でやっとハンナとコンタクトを取れるか?ってところで2巻が終わるんだよねえ。早く3巻が読みたい!
くすぶってたり、何かを乗り越えたい人が読むと力になる漫画だなあ
ともかくひたすらてっぺんを目指して走る大は、周りを巻き込んでどんどん進んで行くんだよねえ。
大は臆面もなく初対面に人に平気で世界一のサックスプレイヤーになるというんだよね。誰もがその言葉を聞いて最初は馬鹿にするのだけど、演奏を聴かせればいつかそうなるんじゃないか?と思わせる実力を持っている。
でも、その実力は単に才能という言葉だけで片付けられる簡単なものではなくて、大は本当に毎日欠かさず練習してるんだよねえ。そしてそれを努力と言わない
ただただ毎日練習して、それを臆面もなく出す。出せるタイミングで出す。
実はそれが一番難しいところだったりするんだよねえ。
普通はちょっとしたきっかけでやってよ?というと「練習してないし……」とか言ってしまって、せっかくのチャンスを逃してしまったりする。
逆に見せたところで、普段やってない人はそのやってない結果を出してしまったり。
大は毎日毎日練習してるからいつでも出せるし、いつでもその時の最高潮を発揮することができる。それって意外にできないことなんだよなあ。
才能とはある意味そうゆうことなのかもしれない。奥目もなくいつでも出す。そしていつでも出せる準備をしておく。
そして毎日そうしてるから、そうなれると言い切れる。
うーん、なかなかできないけどできることではないけど、そう言った姿勢はやっぱり刺激になるよねえ。
いろいろと気持ち的にうまくいかなかったら、大の熱にあてられるために読みたくなっちゃう漫画だよね。まだ足りない、まだやれる!と思った時にすごく刺激になるよ。