徹底的なエンターテイメント感!最後まで一気に読んでしまった
ネットで話題になっていたのでプロパガンダゲームを文庫で買って読んでみた。
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これがすごく面白かった。
なんというか、内容は似てないんだけど、感覚としてはバトルロワイヤルみたいな小説。
中盤から終盤にかけての盛り上がりがすごくて、どっちが勝つか気になって、あっという間に読みきっちゃった。
最後のオチの意外性もいい。
久々に面白いエンターテイメント小説って感じ。
業界最大手の広告代理店「電央堂」の最終面接は「戦争に導くゲーム」
広告代理店の最大手電央堂。その最終選考に残った8人。
彼らが受ける最後の選考はプロパガンダゲームという仮想国家を戦争に導くためのゲーム。
8人は二手に分かれて、片方は政府、もう片方はレジスタンスとなる。
政府は隣国との戦争を望み、レジスタンスはそれに反対するのだが、戦争をするかどうかの決定は、最後に行われる国民投票で決定する。
仮想国家は、そのために集められた一般参加の100人の国民がいて、その選考のためだけに構築された、SNSシステム内で勝手に発言できる。
SNSの画面は三つに分かれていて、真ん中の広場が国民の発言場、青のゾーンが政府、赤のゾーンがレジスタンスの発言場となっている。
政府もレジスタンスもそれぞれポイントを持っていて、そのポイントを利用して情報屋から情報を買い、発言することができる。
その情報は戦争に導くための有益な情報だったり、逆にその戦争の意義を否定するものだったりする。
チームはそれぞれのソースを利用して、広報を行い、国民の意見をそれぞれの意向に導いていく。
最終的に、戦争をする意見が多ければ政府チームの勝ち、反対票が多ければレジスタンスチームの勝ち。
熱いのはスパイという存在
学生にはそれぞれチーム分けをする際に、カードを渡されて、自分がどっちのチームかを決定するわけだが、そのカードの中にはスパイというものがあり、スパイになったものは、相手のチームに潜り込んで、相手の妨害をする。
ただ、最初からおかしな行動をとれば、怪しまれてしまうわけで、スパイであるというカードをいつ切るかが鍵となる。
その攻防が終盤にあるんだけど、これが熱い。逆転に次ぐ逆転の要素になっていて、読んでいて先が気になってしょうがなくなってしまった!
徹底的なエンターテイメントでありながら、広告やマスメディアをどう考えるかというきっかけにもなる感じのストーリー
話の展開が早くてどんどん切り替わっていくから、あっという間に読みきっちゃうんだけど、内容的には今の世相を反映するような事件を思わせるものであり、今のメディアのあり方なんかへの問いかけみたいな部分もある。
戦争への捉え方とかも現代風で、ネトウヨとブサヨと呼ばれているような一般人も出てきたりで、ネットでのやり取りもなんだかリアル。
何も考えずに軽々しく発言をしていると、それによって徐々に世論が流されていく感じもまたリアリティがある。そしてそれをコントロールする、政府とレジスタンスってのがね。
あくまでも、エンターテイメントでありながら、ちょっとリアリティを匂わせている配分がいい。
アニメでもドラマでも映画でもメディアミックスしそうな題材でもあるしねー。
映像でも見てみたいな、これは。