丸子地移動動物園

東京で活動するグラフィックデザイナーのブログ

BEATCHILD(ビートチャイルド)映画公式サイト「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987」を観てきた[映画/感想]

| 0 comments

 

1987年8月22日(土)23日(日)熊本県野外劇場「アスペクタ」で開催された伝説のフェスの記録映画

 

デザインウィークの後、そのもやもやを解消するためにヒルズで「ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987」を観てきた。148分と長めで2500円という、普通の映画よりもお高め。今後映像化の予定もなく、3週間限定の公開というから、音楽好きなら観に行かないと!

パンフレットが2000円もしたのだが、当時の復刻版らしい。やたらとでかい。パンフを買ったら、当時のチケット復刻版が付いてきた。なんかこうゆうのはちょっとうれしい。

ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987

 

ザ・ブルーハーツ、岡村靖幸、RED WARRIORS、HOUND DOG、BOOWY、白井貴子&CRAZY BOYS、THE STREET SLIDERS、尾崎豊、渡辺美里、佐野元春 with THE HEARTLANDが参加したオールナイトの野外フェスで、規模が半端ない。観客数が7万人以上!まさに伝説と言うべきフェスだ。

伝説となったいわれはもう一つあって、それはそのフェスの当日が台風並の悪天候になり、大雨と強風で、会場が水浸し。排水溝から水があふれ、寒さにさらされた観客が失神し、救急車で搬送された観客が500名以上いたという、まさに最高のフェスであり最悪のフェス。こんなんやってたんだねえ。まだまだ子供だったから全然知らなかったよ。

リハーサルは快晴で、眺めもいいし、そのままだったら最高のフェスだろうなーと思っていたのだが、だんだんと風が強くなり雲行きが怪しくなる。ブルーハーツがやったあたりはまだ曇っていたぐらいだったが、岡村ちゃんがやり出したあたりから豪雨が。

今では考えられないけどステージ上まで雨が入り、ドラムまでもびしょぬれ。機材トラブルはあるしステージ上も水たまりができるくらいになっていた。それでも続けるアーティスト達。会場もすでに田んぼの様だし、逃げ場も全くない。観客はただただ耐えるしかない状態。

フジロックでもなんども雨にうたれたことはあるけど、フジは主催自体も年々その辺の対策もちゃんとしているし、大体お客の方がその辺をちゃんと理解しているので、雨対策とか寒さ対策をしているのだが、そういった対策がこうじられていない時代。みーんな暢気に短パンとかサンダルとかで着ているので、そりゃ、あんな豪雨にさらされたら、耐えられないよねえ…傘は持ってきていたみたいだが、雨って想像以上に寒くなるんだよなあ。山の上とかだと夜は本当に冷え込むし。

近くの体育館に救急車で運ばれる人たち。それでも足りなくなり、会場の裏がまるで野戦病院みたいな状態になってしまう。

そんな状態でも途中中止を挟みながらライブはどんどん進んでいく。バックステージの様子なども映し出されて、アーティストの素顔がみられてなかなか面白い。

当時から岡村ちゃんはいい意味で気持ち悪い動きをしてた(笑)し、その割にはバックステージはとても礼儀正しいのがなんかいい。白井貴子はギタートラブルで音が出なくなり、モニターも壊れてしまったのに歌い続け、尾崎豊は豪雨の中神がかったステージを演出。アコギのマイクが雨の「ぽつぽつ」という音をひろってしまっていたのがリアル。渡辺美里は感電する危険性があるのに素足で歌い出す。

そして最後、夜があけた朝、最後の佐野元春が歌い始めると、それまでの雨が徐々に止んでいくという劇的な終わり方だった。

本当にすごい映像だったわ。野外フェスに行ったことがある人なら感じられる感動だと思う。雨が降ってくると変なテンションになったりするしね。でも、あんな豪雨だったら、ただただ終わってほしいとか思っちゃうかもしれないけど(笑)

見終わった後、尾崎とか佐野元春とかまた聞きたくなったよ。ツタヤとかで借りてこようかなあ、全集とか。

 

さて…こっから先はちょっと言いたい放題に書く(笑)し、ネタバレでもあったりするので、批判とか好きじゃない人は読まないほうがいいので飛ばしてください。

 

 

 

 

 

素材は最高なのに料理の仕方が最悪な、ドキュメンタリー映画の悪い見本

正直に言えば、素材としての映像は最高なんだけど、編集とか演出が最悪。そして最後の最後ですべてを台無しにするというなんというかドキュメンタリー映画をちゃんと勉強してくれよ!とか言いたくなるでき。映画としては結構つらい。

ここ最近、「シュガーマン」とか「ビルカミンガムニューヨーク」とか最高のドキュメンタリー映画を観た後なので、そのひどさが目に余る。

なにがひどいかってそのナレーションがひどい。ところどころに入るナレーションがすべてを台無しにしている。いちいち詩的で大げさに仰々しいのでナレーションが入るたびに興ざめ。まるで神の試練みたいな言い方なんだもん。ただライブ観に行って大雨で大変だったって事なんだよ要約すると。いちいちドラマチックにしようとする感情的なナレーションがチープすぎるんだよねえ…

そりゃ、こんな規模のイベント、途中中止なんてできないよね。7万人払い戻しなんて会社倒産するわ。それを、さも続けることが運命みたいなナレーションであおられるとねえ。

「ベイビー大丈夫かっ」ってセリフ、アーティストの誰かが言ったのかと思ったら誰も言ってないんだよね。それを最後に5,6回繰り返し繰り返し聞かされるんだよ?それをタイトルにしちゃうってのもなんか…中二病にもほどがある

ドキュメンタリーというのは、少し引いた目線で、ナレーションもあくまで状況の補足説明をするだけでいいのに、いちいち主観的で感情的で臭いセリフを聞かされるといったいこれは誰のための映画なんだ?とか思ってしまう。

そういった感情部分は、当時参加したお客とかアーティストのインタビューとかで語ってくれればいいのにそうゆうのは全然無いんだよね。

そして最悪なのは編集の仕方。曲の途中でぶった切るわ、例の臭いナレーションを曲に被せるわで。違うんだよ!もっと当時のその会場の雰囲気をすんなりと味わいたいのだよ!時間の関係で、全部聞けないのは分かってるけど、ぶった切って変なナレーション入れるなよー。演出の仕方がいちいち押し付けで古くさいんだよねえ…

そして実はインタビューが最後の方に一人だけ入るんだけど、それがまたなんというか最悪のインタビューで。

散々仰々しく煽ったナレーションを入れていたのに、チープなブルーバックの合成の中に当時の主催者が出てきて、

「いやー、今思うと失敗でした」

とかへらへら笑いながら言っちゃうんだよ!

えーーー!!今までの伝説持ち上げはなんだったの?映画館の中で失笑がおこってたよ…

そしてエンドロール。ウラニーノというアーティストの「音楽はあるか」という曲とともにスタッフロール。スタッフロールが終わった後に例の寒い「ベイビー大丈夫かっ」の連呼があるんだけど、その後にされに余韻を台無しにする演出があるとは思わなかった。

それはエンドロールを歌ったウラニーノの「音楽はあるか」のPVを流すという暴挙!もう、暴挙って言っても言いと思う。それもさっきの主催者のインタビューのときに流した背景の使い回しのPVだよ?台無し感もほどがあるよ…

エンドロールが流れていた時には、「あ、結構良い曲だな。後でネットで調べて曲を買おうかなー?」とか思っていたのに、そのPVのせいで、台無しじゃないか!絶対買うか!ってなってしまったよ。アーティストがかわいそう。映画ってものは終わった後に余韻を楽しむものなのにー。

最後の最後で印象が、なんか売り出しのPVを2500円払ってみせられた様に終わってしまうのってどうなんだよー。もうね… 

世代的にはまっている人たちは大丈夫なのかもしれないけど、若い人達にはその過剰な演出は無理だろうなあ。俺が無理なんだもん。

前に座った若いカップルは、ライブ映像の時には食い入るように観ていたけど、ナレーションが始まるたびに、飽きているのか携帯いじったりしてた。映画館で携帯いじるってのもどうなんだろ?とか思ったけど。

ニュース番組で監督のインタビューをやっていたので観たんだけど、当時その監督が取った映像を、今再編集したみたいなんだよね。監督自体は当時PVなんかを取りまくった伝説の映像作家らしいのだが、なんというかその当時のノリのまんまなんだろうなあ…PVとドキュメンタリー映画は違うからなあ…

というか今ふと思ったのだが、これってドキュメンタリー映画じゃなかったのかな?当時を懐かしむ回顧主義の映画であって、思い出を美化できない世代は門前払いだったのか?うむむ…

このままDVD化しても欲しいとは思わない。ソフト化しないのは正解。ナレーション取って余計な演出をすべて無くして再編集したら絶対に欲しい。

もやもや解消のために観た映画で、逆にもやもやが増したというね…なんだかなあ。アーティストが最高にかっこいいのに、あらゆる意味で勿体なさすぎる映画だ。

 

 


コメントを残す

Required fields are marked *.