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乾燥した乾いた殺し合いを淡々と描いていく「ブラステッド」1・2巻(完結)[漫画・感想]

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キタノ映画のようなドライなヤクザの殺し合い

秋津が面白かったので、同じ作者のテイストが違う漫画が読んでみたくて電子書籍で購入。

過去記事:漫画を描く以外、ほんとにダメなお父さん「秋津」1・2巻(完結)

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大げさな表現や劇的な展開があるはずなんだけど、ただただ淡々とどんどん抗争が大きくなっていくんだよねえ。

多分に唯一普通の人の視点を持っている主人公が、非常に淡々としているからなのかもしれない。劇的な状況に陥っても大騒ぎしない。ある意味、究極の空気読みのスキルがあるんじゃないかと思ってしまう。

あまり主体性がないというか。流されるままに人を殺してしまい、流されるままに裏切り、流されるままに元の鞘に戻り、流されるままに普通に溶け込む。

そんな感じの主人公。まあ、主人公がヤクザになったのも流されるままにヤクザになってしまったという感じがある。ヤクザの末端組織の店で経理的なことをしていた主人公「穂村」はある意味、登場人物の中では異質な存在なんだよね。他の登場人物たちはどこか壊れているというか。

普通ではない顔を持つ、文字通り「顔」と呼ばれる男や、殺し屋集団の一人、本来敵である劉という男に好かれて友達として接したりと、日常では「異質」とされている人に対して「普通」に接することができる。状況で流されるその「普通」さが、生き残れる鍵みたいなところはあるんだよねえ。

普通でない彼らからしてみたら、「普通」に接せられるというのは、もはや普通ではないという……だから、最後に決着をつけるのは主人公である「穂村」なんだろうなあ。

「穂村」は劇的な生い立ちがあるわけでもないので、普通に生きている人が、誰でも陥りそうな可能性を持っているんだよね。その辺がリアル。

誰しもが普通に生きているんだけど、実は暴力の影とかって身近にあったりするんだよね。で、その暴力の可能性とどこで交わってしまうかなんてのは、実は分からないところがある。皆なるべくはそこに関わらないように生きているはずなんだけど。

どこで道を踏み外すのか、なんでそこにたどり着いてしまったのか分からない。分からないまま踏み外してしまった人。ある意味現実逃避の成れの果てみたいなところがあるんだよなあ。

普通に戻った主人公が、交差点で一瞬迷ってそぶりを見せるんだけど、偶然そこで出会った「顔」に進むべき方向を指で示されるのがいいなあ。


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