意外に素敵なマッチング!ケルトのコーラスと謡が幽玄の世界に誘う!
Bunkamuraオーチャードホールで開催されたケルティック能・鷹姫を観てきた。
公式サイト:ケルティック能・鷹姫
いやー、思ったよりずっとよかったです。能とケルト音楽なんて絶対寝そうとか思っていたのだが、そんなことなく最後まで集中して魅入っちゃった。
現代能として観た中では一番の完成度かなあ。
観世梅若流とケルトのコーラスグループ、アヌーナのコラボ。
中央で能を演じながら、そのバックでケルトコーラスの人たちが歌うって感じ。
能の語りや謡に合わせてコーラスが入るのがなんとも不思議。
コーラスは完全なハーモニーなんだけど、能の謡とかってそんなにハーモナイズされてないじゃない?それなのに不思議と合ってるんだよねえ。
アクセントで入る囃子方の演奏もすごく合っていて。
背後に流れる風の音などがコーラスで表現されたり、ホーミーのような低い男性の声が地響きのように鳴り響いたり……
観ているうちにだんだんと、ここは現世か?幽玄か?というような境界線が曖昧な感じになっていく、トランス状態に誘われるような感じがしてすごく不思議な感じがした。
いやー、素晴らしかった。本当。
アイルランドの作家が書いた能
アイルランドの作家、 W.B.イェイツが能の影響を受けて書いた鷹の井戸という原作を元に再構成された現代能が鷹姫。
何度か上演されているようだが、ケルトのコーラスが入るのは今回が初めて。
あらすじ
孤島に永遠の命を与えてくれるという井戸がある。普段は枯れた井戸なのだが、とある瞬間だけ井戸の水が湧くという。
それを見守る鷹の姫。
永遠の命を得たい老人はその井戸の水が湧く瞬間をずっと待っているのだが、そこに若い王子、空賊麟(クーフーリン)が現れる。
井戸を求める老人と空賊麟は言い争いになるがそこで鷹の姫がにわかに鳴き出す。
井戸の水が湧き出るのか?と思いきや二人は意識を失ってしまう。
意識を失っている間に、湧き出た井戸の水を飲み干してしまう鷹の姫。
結局、水を得ることができなかった老人は嘆き悲しみ、幽鬼と成ってしまう。
なんとも救いの無さが能らしいといえばね……
全体的に素晴らしかったんだけど……
公演自体は素晴らしかったんだけど、最後のアンコールで、アヌーナが出てきて、日本の桜ともののけ姫を歌ったのがなあ。
いやまあ、サービスとか会場でCD売ってるからセールスとかの意味合いがあるんだろうけど、なんというかね……
せっかくの幽玄な雰囲気が、現代に引き戻された感じ。
映画もそうだけど、スタッフロールとかも大事にするタイプなのでこうゆうのはどうもなあ。
演劇や映画もやっぱり残心が大事だと思うんだよねえ。それだけが残念。
何度も言うけど、内容は最高に素晴らしかったから、ぜひ再演してほしいなあ。
舞台の様子がフィギュアで飾れていた。
真ん中の演者の周りに座っているのが謡の人たち。岩という存在(笑)