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丁寧に描かれたアニメーション。戦時中の呉での物語「この世界の片隅に」を観てきた[映画・感想]

柔なタッチで描かれた、戦時中の普通の人の生活

この世界の片隅にを池袋で観てきた。

この世界の片隅に

公式サイト:この世界の片隅に

座席はほぼ満員。

原作は未読で、予備情報とかをほぼ入れずに鑑賞。いやー、良かったです。

物語は主人公・すずの独白で話が進んでいく。ので、声優を務めたのんの力量次第って部分が結構あったり。

ちょっと甲高いところがあって、聞き取りづらい部分はあったけど、のんびりとした主人公の性格には合っていたと思う。

あと音楽を担当したコトリンゴの柔らかな雰囲気がとても絵柄とかあっていた。

オープニングに流れるフォーククルセダーズのカバー、悲しくてやりきれないが、これから始まる物語の本質を語っているようで、とてもいい。

フォーククルセダーズではなくコトリンゴという女性の柔らかい声ってのがね。主人公、すずに重ね合わせられて、心にグッと来るんだよねえ。

優しいキャラクターデザインと柔らかなタッチの風景で、幼少時代、広島での生活から呉に嫁いで戦時下となり、終戦。

それまでの生活が淡々と、丁寧に描いていて、当時の生活とか戦時中の食生活とかが読み取れるのがとても良かった。

戦時下、食料品が限られている中、様々な工夫をしてご飯を作っていく姿とかね。

性来のすずの呑気な生活が相まって、貧しくて大変てもとても楽しそう。ただ、戦争の悲劇はちょっとずつ近づいていて、結局は大きな悲劇を迎えてしまうのだけれども。

悲しいことが起こっても、最終的には希望を持って立ち上がる感じがある終わり方はとても暖かな気持ちにさせてくれた。

直接的すぎない被災の描写が良かったのだが……

戦争が進むにつれ、呉にも空爆が行われるようになるわけだが、その表現が直接的でなく、じわじわと現実を犯していく感じが、逆に重く心にのしかかってくるのが良かったのだけれど、最後の最後で残酷な描写を直接的に描いてしまったのがちょっと残念。

主人公のすずが、やたらと今が夢でないならいいのに、と強調していたので、最後に出てくる崩れゆく被爆者が本当はすずの姿なの?と思わせるような意味合いがあったのかもしれないけれど、それにしてもああゆう残酷な姿を直接表現しなくても良かったと思う。

原作を読んだ人に言わせれば、完全に蛇足。そのシーンまでは本当に、美しくも悲しいという感想でいられたんだけどねえ。

あの話には直接的な怖さはいらないんだよなあ。

ヒロインの痛々しい姿で十分伝わる。逆に残酷な描写を唐突に入れてしまったことにより、ちょっと滑稽な感じになってしまっている。

本当に怖いものとかは実際の映像とかを見れば感じられるものだし。そこがちょっと残念。

エンディングで見られる、引き取った少女がちょっとずつ幸せになっていく姿とかを本編に入れてくれればよかったのになあ。

そんなわけで、ちょっともったいないところもあったけど、全体的はとてもいい映画だったので、ぜひ鑑賞してもらいたいな。

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